一秒の暮れ

一秒の暮れ





もしも大晦日に



もしも時が止まって



しかも二十三時五十九分



五十九秒というところ



あと一秒というところで



家中の時計は止まり



銀座の大時計も止まり



歌舞伎町のカウンターの時計も



祝砲を待つ腕時計も



次の年へは行けぬ恐怖



次の年へは行けぬ安堵



時が止まるとそこに



恐怖と安堵があった



そんなことを想ううち



とっくに祝砲は上がっていた






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