生きるのはなぜ苦しいのだろう、つらいのだろう。いや、だからこそ喜びを感じ得るのだ。闇があるから光が分かる。この世はあなたが必要だ。感情回復『詩的ぶるぅすメソッド』申込はメッセージフォームから。
愛しさでいっぱいな人へ
白湯(さゆ) ただのお湯だと きみは言う 右手で掬(すく)ってみせるのは 桶に張られた ただのお湯 右手が濡れたその時から きみの右手が濡れた時から ただのお湯は ただのお湯ではなくなった 右手からこぼれ落ちたそれは 桶の上とぼくの上で 幾つもの丸い輪になって 広がっていった
なんだかくすぶっていると感じる人へ
子グモ 一丁前に 尻から糸を 出しやがる 俺は未だに 己に迷い 嘆いているのに お前はすでに クモであり お前はすでに お前であり ここまでくると 腹が立つよりも 敬服してしまって 狙いすました手も 止まってしまった
この頃気づきを得ていないと思う人へ
男と女のヒント 男は いつまでも いくつになっても 男の子 女は いつまでも いくつになっても 女の子
誰かの独り言を聞くのが好きな人へ
死んだ蚊 仰向けに 死んでいる蚊の 脚を見よ 絶望と苦悩と 悪魔に呪われた 憐れな国王のように 硬くこわばって 天に突き刺している その脚を見よ 俺は こんなふうに 死にたくない どうせなら 手と手の間で 擂り身になって ただの染みになって 死にたい
運の産業者 運は 使い果たして構わない また つくり出せばいいのだから また
時には感傷的になりたい人へ
栗花落(つゆり) 花は落ちる 雨の重みに 耐えかねて 花は落ちる 空の重みに 耐えかねて 花は落ちる 恋の重みに 耐えかねて
イメージを楽しめる人へ
空想建築 家を建てて 出来上がったときを 理解したとする 理解するとは 家をひとつひとつ 建ててゆくこと 感じるとは 家を十戸 家を百戸 一度に一気に 建てること 形さえも 気にせずに 速さの違い 形の違い 理解すること 感じること
地球環境と人間生活を考えている人へ
空の煙突 空の煙突が消えた どこを探しても見つからない みんなに愛されていた煙突 みんなのシンボルだった煙突 申し訳ない程度に煙を吐き ただもくもくと立ち働いていた 今はもうどこにも見つからない あったとしても空にはない 新しいという名の怪獣が 空に集まり騒ぎ出すから かきわけて...
人生に迷っている人へ
ふほう わらわら走って わらわら転んで わらわら泣いて わらわら笑って いつの間にやら こうなりました ふほうふほう これだこれだ これがいいんだ いつの間にやら これがいいんだ ふほうふほう ぼくのふほうを 申し上げます
マジシャンと箱 マジシャンが 河原に下りて 箱を置いて 姿を消した 河はさらさら 流れていた 葦はさらさら さやいでいた すると箱から 白い鳩たちが 次から次へと 飛び立った 何羽も何羽も 何日も何日も 箱の中から 飛び立った 夢の国の 噴水のように