生きるのはなぜ苦しいのだろう、つらいのだろう。いや、だからこそ喜びを感じ得るのだ。闇があるから光が分かる。この世はあなたが必要だ。感情回復『詩的ぶるぅすメソッド』申込はメッセージフォームから。
誰かの独り言を聞くのが好きな人へ
陸の諫早 わかっちゃいねえ わかっちゃいねえ 鵜飼の鵜の 首縄が解けたら 漁にはならねえ 鵜は飛んでゆく うまい具合に 首縄を締める それが技術でさあ それが文明でさあ わかっちゃいねえ わかっちゃいねえ 技術と文明が 野菜だって育てる 野菜を食うのは どこの誰だい 首縄を外すな...
近頃気づきを得ていないと思う人へ
棚上げ うっすら積もった埃なら さっと綺麗にできました 大層なものじゃないけれど ちょいと置かせてもらいます これで私は棚の上 これで私は居りませぬ 今から話しますことは 世間の音のひとつです 響く音なら耳澄まし 合わない時は耳塞ぎ どうせ私は棚の上 どうぞお好きにして下さい 私...
自分のことを分かってもらえない人へ
くさらずに くさらずに くさらずに ひたむきに ひたすらに うとまずに うもれずに のびやかに のどやかに こもらずに こぼれずに ささやかに さわやかに くさらずに くさらずに
イメージを楽しめる人へ
ジオラマ 巨大なジオラマの街に 生身の人が立っている あるいはバスやタクシーに こじんまりと座っている ひとりの少女が颯爽と 雑多な道路を横切った 黒い犬が口から舌を出し 少女をいつまでも見送った ビルの屋上では大人たちが ひとりの少年を押さえていた 仰向けになった救急車を 何台...
吹雪のメリークリスマス 袋の中には絶縁状 白いヒゲならゼラチン状 吹雪の明かりは夢かしら 睫毛(まつげ)は凍って霜柱 孤立無援の反乱軍 夜空を彷徨う流星群 神のお告げは信じない 愛の謎解き進化ない メリークリスマス つくり笑いは白い息 メリークリスマス 融けた氷柱(つらら)にひと滴
世の中がおかしくなったと思う人へ
飛べない鳥 手の中に握られると 瞬時にカドに叩かれ ひび割れたところから つるりと液体は光り 同時に外気は侵攻し 飛べない鳥を押し出す サーモグラフィーは赤く 小さな太陽が回り 吸い寄せられる隕石が 燃え尽くされる音を この飛べない鳥もまた 平たい咽元で発して 極楽浄土はどこだと...
麻酔 トマトはどこになってるの? れいぞうこ イジメられたのは誰のせい? がっこう ペットが死んだらどうするの? ごみばこ 妊婦が苦しがってるよ たいへんね 仏像が五体盗まれたって いくらなの 子供が親を殺したよ さびしいもん 麻酔は醒めてきた...
子どもの頃を忘れてしまった人へ
雪景色 雪はどうして あったかいの ぼくの頭は 白さを増して 霊柩車さえ やさしくなる ぼくは両手に 雪をのせた つめたかった 足跡は自由に 雪の上を泳ぐ 落ち葉はもう 冬眠してしまった 来年の雪も あったかいかな
乖離(かいり) ベリッベリッと 剥がれてゆく 僕の表面に 貼りついていた ベニヤ板のような 崇高な落書き 僕は慌てて 人目を憚(はばか)る ガムテープや 木工ボンドで くっつけくっつけ 焦っている こんなことで 直ったところで 僕はなんにも 変わりはしない いっそえんやと 剥がすも道か
人生に迷っている人へ
メマトイ ああぁ おいらはぁ まったく何のためにぃ 生まれてきたのかぁ ほらほらやっぱりぃ いやがってるよねぇ 涙をすするなんてぇ 目障りだものねぇ ああぁ それでもぉ すすらせてくだせぇ 生きる意味なんざぁ わかりゃあしないけど 涙をすするしかぁ 腹がおさまらねぇ ああぁ それ...