生きるのはなぜ苦しいのだろう、つらいのだろう。いや、だからこそ喜びを感じ得るのだ。闇があるから光が分かる。この世はあなたが必要だ。感情回復『詩的ぶるぅすメソッド』申込はお問合せから。
近頃気づきを得ていないと思う人へ
イチマルマル 鳥の足を食っている この持ち主のお名前は ピーコなのかケーコなのか それともイチマルマルなのか 朝一番に歌い出し 機嫌が良ければ跳ね回り 一丁前に喧嘩もし 頬を赤らめデートして それなのに嗚呼運命は いともたやすく引き裂いて イチマルマルは雪のように 皿の上に降り積もった
誰かの独り言を聞くのが好きな人へ
屁のような 屁だ 屁のようなものだ 僕のこと やがて やがて消え去る
時には感傷的になりたい人へ
青虫 わたしが青虫なら わたしは沢山いる あるわたしは地面を這い あるわたしは葉をかじり あるわたしは池にはまり あるわたしは鳥に襲われ あるわたしは足をひきずり あるわたしはやつれた顔で あるわたしは電車で寝過ごし あるわたしはふと我に返り わたしが人間なら わたしは一人いる
底から這い上がりたい人へ
夜勤 リムジンが停まっている ネオンがボディに映っている 運転士がドアーを開けた 黄色いヘルメットが出てくる 中肉中背の男がネオンを浴びた 運転士は礼をして見送った 男はよたよたと現場へ向かう 作業衣の汚れは落ちない 晴れた夜空には丸い月 露地を横切るのはネズミだろう 工事現場は...
なんだかくすぶっていると感じる人へ
砂の上の跡 鉄の脚を引き摺(ず)ると 砂浜には二筋の跡 小さな蟹は何も知らず 山と谷を登って降りる 誰もがこの蟹のように 非力な道を歩んでいる 突如山と谷が現れ 何も知らず登って降りる 今は山なのか谷なのか 鉄の脚は重いまま 砂浜には二筋の跡 別の蟹がまた迷い込む
愛しさでいっぱいな人へ
指切り 嘘だというのは わかっていました はぐれた風船ひとつ 空へ跳んでゆきました 指切りでもしませんか 目はそらしてもいいから 指切りでもしませんか たとえ心は忘れても 恋だというのは わかっていました はなれた気持ちふたつ 雲に乗ってゆきました 指切りでもしませんか 手は下ろ...
イメージを楽しめる人へ
白いキャラメル箱 白いキャラメルの箱に ありんこがたくさん群がって いくつかの小さな穴から 箱の中へ入ってしまった 箱の中では音が鳴り出し ほんのかすかに震え始めた 中でありんこが何をしてるか 外のありんこにはわからない 夜も少し更けてきたころ 箱からありんこがぞろぞろと ほっこ...
夜の足音 驚くだろうな 驚いてほしいな さっきまでいたのに 急にいなくなって 驚くかなあ 驚かないかなあ なんだかちょっと 心細くなって 夜の草木が ざわざわ鳴る 鳥たちはもう 羽根をたたんだ 足音はどこからも 聞こえてこない 驚くだろうな 驚いてほしいな
似顔絵 捨てた二枚の 古い似顔絵 似てない僕と 似てない君と いつになったら 僕は僕に 似てくるだろう 似てくるだろう
手相 運命線がないと 嘆く浮浪者がいて まあ仕方がないから ぼくのを一本くれてやった 結婚線がないと 喚くモナリーザがいて まあ仕方がないから ぼくのを一本くれてやった 生命線がないと 憂う仮病人がいて まあ仕方がないから ぼくのを一本くれてやった こんな調子でいたら 手には何も...