生きるのはなぜ苦しいのだろう、つらいのだろう。いや、だからこそ喜びを感じ得るのだ。闇があるから光が分かる。この世はあなたが必要だ。感情回復『詩的ぶるぅすメソッド』申込はメッセージフォームから。
子どもの頃を忘れてしまった人へ
スケートリンク 玄関の扉を開ける そこはスケートリンクの上 そろりそろり歩き出す すってんころりでん 青空に星を見る うふふそれはそうだ 滑らなければならない きたきたきた おそるおそる回ってみる くるくるくる きたきたきた 握りこぶしをつくる 観衆はいない うふふそれはそうだ ...
イメージを楽しめる人へ
他人の褌 誰かの褌(ふんどし)が ぶらさがっている なんの苦労もなく これで相撲が取れる なんの苦労もなく 褌を着けると 見知らぬ海に入ったように 冷たくかたい感触が 体との記憶を遮った 自分自身からの孤立 自分で自分を助けるさえできない そういった孤立 まだ体温があるうちに 他...
誰かの独り言を聞くのが好きな人へ
スカイダイビング 飛行機を操縦する者 燃料を調達する者 無線で指示する者 双眼鏡を覗く者 なぜ彼らはそこに そこにいるのだろう いま空から落ちる者 まったく彼と同じように 生れ落ちるに従って 行き着くところへ来た 理由なんてないのだ ただ落ちるに従ったのだ 私はどうやら詩の中へ ...
近頃気づきを得ていないと思う人へ
ひよどりの春 色づく枝に ひよどりが啼く 冷たい雨は 枝から落ちる 寒桜の暁光 木蓮の目覚め 沈丁花の吐息 雪柳の滴(しずく) 幼い傘は まだ春を数えず ただ嬉しや 水たまりを踏む
ミクロン この雨はどこへ行くのだろう この小さな一粒一粒はどこへ 重さをもったその時から 遥かなる旅は始まった 風にもまれたときには ほかの粒とぶつかりながら 風も光もないときには 孤独の時間を過ごして ついに長い旅路の果て 重力の終焉を迎えた それでもなお小さな粒は どこかへ行...
やめるかやめないか考えている人へ
嚥下(えんか) あぁ 何かひとつ わかったかもしれない 諦めないことだ
なんだかくすぶっていると感じる人へ
水鳥 おまえはどうして いつも冷たい水の上で 平気でいられるのだ その上どうして 笑うようにふるえると 幾つも輪ができるのだ おまえをつかまえてみようと 水の中へざぶり入っても 足の水かきがすぐに 遠くへ連れ去ってしまう 挙句の果てに 大空へと舞い上がる 腰まで水に浸かりながら ...
時には感傷的になりたい人へ
明けきらぬ刻(とき) 真っ暗な夢を見た 何もかも宇宙であった 何もかも 夢から醒めても 醒めたのかわからない わからない あの人はどうしているだろう 助け起こしてあげられたら 良かったけれど 今日になって強い風が 止んだことはわかる それだけはわかる
もやもやを共感してほしい人へ
寿司詰め 立派な箱があって もちろん蓋も綺麗で その上一流の店ときたら 入ってしまいたくなるさ たとえ潰れそうなくらい ぎゅうと混み合っていても おっとごめんなさいね しゃりを踏んでおりました それでもみんな大人しく しゃんとネタを光らせる 哀しいなんて言わないで 寿司詰めは哀し...
最後尾 なあらんだ なあらんだ なあらんだあら なあらんだ どうおして どうおして なあらんだあら どうおして しいらない しいらない しいらないけど なあらんだ ゆうるして ゆうるして どうにもできない ゆうるして