生きるのはなぜ苦しいのだろう、つらいのだろう。いや、だからこそ喜びを感じ得るのだ。闇があるから光が分かる。この世はあなたが必要だ。感情回復『詩的ぶるぅすメソッド』申込はメッセージフォームから。
イメージを楽しめる人へ
大根 女は部屋を出て 姿が見えなくなる前に 立ち止まりこちらを見て 最後の台詞を言った 「どうして止めてくれないの」 女が部屋を出る前に その腕を掴まえて 行かないでくれと 渾身の台詞を言った 「何もわかっちゃいないのね」 男には女ほどの能力はない どうか赦してやってはくれまいか
この頃ココロが落ち着かないと思う人へ
話すときは目を見て 膝がぶるぶる動く 指が時を刻む 床の上のアリのように 狼狽するネズミのように みな急(せ)いている みな急(せ)いている 幼児は置いてけぼり 旦那は寿命を縮め 誰かの寿命も縮め 夜空もいつしか消えた
なんだかくすぶっていると感じる人へ
後戻り 人は生れ落ちた時から 後戻りできない運命にある そんなことはわかっている わかっているのに考えてしまう しかし考えた末に思うのだ 後戻りできたところで 同じ途を辿るだろうと
この頃視野が狭いと感じる人へ
別れのあいさつ いつかまた会いましょう ぼくはにんげん あなたもにんげん おとこのこはおとこになる おんなのこはおんなになる かみさまはかみさま にんげんはにんげん いつかまた会いましょう
隙間風 雪国で育ったひとは 扉の隙間が気にかかる 南国のひとにはわからない 隙間風というやつを こいつが妙に冷たくて 毛穴のひとつひとつから 芯のほうまで入り込み 身を震わせてしまうのだ 雪国で育ったひとは 隙間風が入らぬよう 常に気を張りながら 扉の閉まる音を聴く
誰かの独り言を聞くのが好きな人へ
石のフクロウ 今にも飛び立ち 獲物へ向かって 鋭い爪をとがらせ 羽ばたきそうだが 石のフクロウは決して 飛ぶことはない ただ愛嬌のある目で こちらを見るばかり 狩りをするだけが フクロウじゃないさ まあゆっくりやんな などと言っているように 聞こえてしまうのは ぼくが石のフクロウ...
つま先立ったら 犬がつま先立ちで歩き 猫がつま先立ちで歩き 亀がつま先立ちで歩き 蛙がつま先立ちで歩き 象がキリンがシマウマが 蟻がヤモリがクワガタが みんなで みんなで つま先立って ついついこっちも つま先立って ひょこひょこ ひょこひょこ おかしなステップ だけどなんだか ...
もやもやを共感してほしい人へ
白化現象 呼吸が止まり 律動が止まり 営みが止まり 温度が止まり 今このときにも 白化現象は 止めどもなく 進んでおり なんだかまるで 雪が積もって みんなみんな 埋もれてしまって 恐いのかい? 嫌なのかい? でもぼくたちは 今このときにも 白になってんだ
幸せを探している人へ
ふじちょう 不死鳥になんて なりたくないな だって死ねないなんて 考えただけでも 恐ろしいじゃないか 挙げ句の果てには 自ら火に飛び込み 自ら終止符を打つ 不死鳥の末路 不二鳥がいいよ ふじちょう 二羽といない鳥 ああ いい響きじゃないか ふじちょう 詩集『ふじちょう...
手のかたち 新しい何かを掴むためには いま手の中に握っているものを 離さなければならないという 新しい何かを望まなければ 手離す必要はないのだろう 新しい何かを望まないなんて 出来る人がいるのだろうか 手のかたちをよくよく見たら 何かを掴みたがっていた 草木が空へ繁茂するように ...