蛹の一生

蛹の一生






蛹(さなぎ)という生き物がいて


一生を蛹で暮らす


彼が望んだわけではない


生れてみたら蛹だった


彼は疑うこともなく


蛹なんだと思っている


思うということさえない


ただひたすら生きている


時々背中がもぞもぞと


違和感があるときがある


それが羽であるなんて


どうしてわかるはずがあろう


それでも彼が今の彼を


疑うことができたなら


もしかしたらその羽は


春風に舞うかもしれない










0 件のコメント :

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。

詩集『ふじちょう』をamazonで購入