天氷(てんぴょう)

天氷(てんぴょう)

 



確かなものなど何もない 



北極を覆う氷でさえも 



日に日に姿を消してゆく 



氷でできたような明日は 



少しずつ少しずつ解けて 



未来と呼べるその日には 



明日などというものはなく 



濡れ落ちた過去だけがあり 



まだ冷たさの残る雫を 



掬(すく)いとろうとしてようやく 



ここに明日があったのだと 



両のひざを汚しながらも 



天を見上げるに違いない 



わたしの不安こそ明日なのだ 



氷の明日こそ未来なのだ 





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