フリーパス

フリーパス





子どものときには



たくさんのフリーパスがあった



歳を重ねるごとに



たくさんあったフリーパスは



ひとつまたひとつと



インクが掠れて消えていった



通れる所が少なくなり



許されることが少なくなり



しがらみだけが多くなった



隣の部屋では学生たちが



朝まで謳い叫んでいた



あとどれほどのフリーパスが



彼らに残されているだろう



そのうちのひとつのインクが



確実に消えかかっているはずで



明け白んでいる若き朝に



微睡(まどろ)みながら寂しくも想う






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