フリーパス

フリーパス





子どものときには



たくさんのフリーパスがあった



歳を重ねるごとに



たくさんあったフリーパスは



ひとつまたひとつと



インクが掠れて消えていった



通れる所が少なくなり



許されることが少なくなり



しがらみだけが多くなった



隣の部屋では学生たちが



朝まで謳い叫んでいた



あとどれほどのフリーパスが



彼らに残されているだろう



そのうちのひとつのインクが



確実に消えかかっているはずで



明け白んでいる若き朝に



微睡(まどろ)みながら寂しくも想う






0 件のコメント :

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。

詩集『ふじちょう』─詩的ぶるぅす集─【税込550円】

詩集『ふじちょう』─詩的ぶるぅす集─【税込550円】
本サイトの詩からピックアップして2011年に自費出版したオリジナル詩集。購入をご希望の方は画像をクリックしてメッセージフォームからお知らせ下さい。