さし風(かぜ)

さし風(かぜ)







なまぬるい風を受けても



なんとも思わなくなった日



融けた重みで雪が



僕に覆い被さった



這い出るためにもがき



再び息をしたとき笑った



冷たい頬の感触が



ひりひりと神経を撫でた



生きている不思議と



生かされた不気味に



みるみる雪は消え果て



風が通りすぎていった



やわらかな風ではあったが



もうなまぬるい風はなかった







0 件のコメント :

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。

詩集『ふじちょう』─詩的ぶるぅす集─【税込550円】

詩集『ふじちょう』─詩的ぶるぅす集─【税込550円】
本サイトの詩からピックアップして2011年に自費出版したオリジナル詩集。購入をご希望の方は画像をクリックしてメッセージフォームからお知らせ下さい。