季節のしずく

季節のしずく







紅梅のしずくが



ひとつ落ちてきて



春を告げるメジロの



小さな羽根を濡らす



優しかったひとは



もういなくなったから



どこを歩いていても



鉛色の空だったけど



季節はずる賢くて



手品か何かのように



見忘れていた色を



あちこちに振りかける



優しくなるというのは



ずるいことかもしれない



だけど今度はぼくが



そのように生きてみるよ










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