矢文(やぶみ)

矢文(やぶみ)





風を切り裂き



矢が柱を突く



先には文(ふみ)があり



読まざるをえない



客人との商談も



親友との談笑も



男女での密会も



親子での和解も



そこにしかない空気を



否応なく切り裂く



矢を放った者は



その空気を知らない



知らないからこそ



放つこともできる



西暦二千十年一月



矢文が飛び交っている







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