櫂なし舟

櫂なし舟




櫂(かい)を失った舟は



流れるがままに



弛(ゆる)い流れのときは



両の手で水面を叩き



舳先を変えるぐらいは



辛うじて出来ようが



急流へと入り込めば



水面を叩くぐらいなど



命尽きかけた蜉蝣(かげろう)



どうにも抗(あらが)えぬ虚しさ



舟を棄てるよりほかに



櫂が見つかるわけもなく



まさに命懸けの選択に



蜉蝣は身を捩(よじ)らせる






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