善光寺の戒壇

善光寺の戒壇







真っ暗闇に向かって



人々は長い列をなす



光のない所では



誰も彼も闇に融ける



脚が消え胴が消え



頭と背中が消えてゆく



いや消えるのではなく



黒い空間に融けたのだ



そこではもう自分はなく



魂だけが浮いている



融けてしまった脚や胴は



錠前によって繋がれる



暗闇が薄まったころ



はじめて息を吸っていた



自分の形を知るのには



光が必要だと知った










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