晩夏のセミ

晩夏のセミ






駅の階段の上で


死なねばならないのか


冷たい床の上で


冷たく仰向いている


黒いと思っていたその


白い腹を見せながら


おれはお前のことを


助けてやれなかった


もっと声をかけてやれば


もっと導いてやれれば


こんな莫迦げた上で


死なずに済んだのだ


やがて駅員のほうきが


闇へ連れ去ろうとした


そのときジジッと啼いて


駅の外へ飛んでいった







2014.8.21

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