崩れ落ちそうな家から
彼は横たわって出てきた
永遠に目を閉じたまま
最後の馬券を握ったまま
焼け野原の上を走り
油まみれの手で汗をぬぐう
艶のある腕の筋肉で
蒸れるような夜を抱いた
時代はひとつひとつ色を
彼の上からはがしていった
彼もまた抗うことなく
身を任せて今を迎えた
残された家財道具は
壁時計だけが音を立てた
2013.10.1
生きるのはなぜ苦しいのだろう、つらいのだろう。いや、だからこそ喜びを感じ得るのだ。闇があるから光が分かる。この世はあなたが必要だ。感情回復『詩的ぶるぅすメソッド』申込はメッセージフォームから。
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