12

12







崩れ落ちそうな家から


彼は横たわって出てきた


永遠に目を閉じたまま


最後の馬券を握ったまま


焼け野原の上を走り


油まみれの手で汗をぬぐう


艶のある腕の筋肉で


蒸れるような夜を抱いた


時代はひとつひとつ色を


彼の上からはがしていった


彼もまた抗うことなく


身を任せて今を迎えた


残された家財道具は


壁時計だけが音を立てた









2013.10.1

0 件のコメント :

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。

詩集『ふじちょう』をamazonで購入