生きるのはなぜ苦しいのだろう、つらいのだろう。いや、だからこそ喜びを感じ得るのだ。闇があるから光が分かる。この世はあなたが必要だ。感情回復『詩的ぶるぅすメソッド』申込はメッセージフォームから。
うまくいっていないと感じている人へ
太陽系 人生の光は いつもどこにでも 満ち満ちている 黒い竜巻が起こったり 灰色の雲に覆われたり 真っ白な濃霧に包まれたり 暗い夜が続いたりして 道標が見えなかったり 自分の居場所を見失ったり 息や胸が苦しくなったり 不安にもがくことがあっても 地球が回っている限り わたしたちは...
誰かの独り言を聞くのが好きな人へ
照明弾 照明弾が湿気(しけ)てやがる いくら前方に打ち出しても まるで弾けてくれない 虚しく発砲音を残して 闇は闇のままでいる なんで俺は泣いているんだろう 恐怖感?無力感?諦め感? それともまさかの安心感? ゆりかごで笑った坊や? 島の翁(おきな)はかっかっと眠った とにかく湿...
もやもやを共感してほしい人へ
黒い受話器 耳から黒い線を吐き 独り言を喚いている ここはどこの黄泉の国だ? みんな誰と話しているのだ? 独り言をよくよく聞けば 確かに誰かと交信している ぼくの耳に黒い線はない ぼくは他国(よそ)から来たようだ 遠い遠い黄泉の国 ぼくはどうやって来たんだろう? どこかの日のどこ...
運が悪いなあと思っている人へ
椅子取り ランランラン 僕らは輪になり 歌いながら回る やがて曲が止まり みんな輪の中心に 一斉に駆け出した 椅子は埋まった ひとつも余らずに 歌っている者など もう誰ひとりいない みんな椅子の上で 安堵の息をついた 立ち尽くしているのは 僕ひとりだけだった 仕方ないものだから ...
おてつき おてつきは 一回休みよ しょげなさるな 死ぬわけじゃない だけどおてつき 一回休みよ
子どもの頃を忘れてしまった人へ
スケートリンク 玄関の扉を開ける そこはスケートリンクの上 そろりそろり歩き出す すってんころりでん 青空に星を見る うふふそれはそうだ 滑らなければならない きたきたきた おそるおそる回ってみる くるくるくる きたきたきた 握りこぶしをつくる 観衆はいない うふふそれはそうだ ...
イメージを楽しめる人へ
他人の褌 誰かの褌(ふんどし)が ぶらさがっている なんの苦労もなく これで相撲が取れる なんの苦労もなく 褌を着けると 見知らぬ海に入ったように 冷たくかたい感触が 体との記憶を遮った 自分自身からの孤立 自分で自分を助けるさえできない そういった孤立 まだ体温があるうちに 他...
スカイダイビング 飛行機を操縦する者 燃料を調達する者 無線で指示する者 双眼鏡を覗く者 なぜ彼らはそこに そこにいるのだろう いま空から落ちる者 まったく彼と同じように 生れ落ちるに従って 行き着くところへ来た 理由なんてないのだ ただ落ちるに従ったのだ 私はどうやら詩の中へ ...
近頃気づきを得ていないと思う人へ
ひよどりの春 色づく枝に ひよどりが啼く 冷たい雨は 枝から落ちる 寒桜の暁光 木蓮の目覚め 沈丁花の吐息 雪柳の滴(しずく) 幼い傘は まだ春を数えず ただ嬉しや 水たまりを踏む
ミクロン この雨はどこへ行くのだろう この小さな一粒一粒はどこへ 重さをもったその時から 遥かなる旅は始まった 風にもまれたときには ほかの粒とぶつかりながら 風も光もないときには 孤独の時間を過ごして ついに長い旅路の果て 重力の終焉を迎えた それでもなお小さな粒は どこかへ行...