他人の褌

他人の褌





誰かの褌(ふんどし)が



ぶらさがっている



なんの苦労もなく



これで相撲が取れる



なんの苦労もなく





褌を着けると



見知らぬ海に入ったように



冷たくかたい感触が



体との記憶を遮った



自分自身からの孤立



自分で自分を助けるさえできない



そういった孤立





まだ体温があるうちに



他人の褌に奪われないうちに



元のところにぶら下げた







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