羽ばたきに露(つゆ)は落つ

羽ばたきに露(つゆ)は落つ





湿った草地の繁みの奥の



小さな蜘蛛の巣に絡む



ウスバカゲロウらしき羽ばたき



それは二度と帰れない羽ばたき



微かな音を聞き分けた鹿が



虹のような跳躍で駆け出し



ウスバカゲロウと同じように



つんざく音が生きる道を阻んだ



誰もが羽ばたこうとして駆け出し



多くは志半ばで蜘蛛の巣に絡む



運よく逃れることができたものは



生きることと生かされていることを知る



生かされていると知ったものは



より強く生きようと思うのだろう






0 件のコメント :

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。

詩集『ふじちょう』─詩的ぶるぅす集─【税込550円】

詩集『ふじちょう』─詩的ぶるぅす集─【税込550円】
本サイトの詩からピックアップして2011年に自費出版したオリジナル詩集。購入をご希望の方は画像をクリックしてメッセージフォームからお知らせ下さい。