見えない彫刻

見えない彫刻






見えない鑿(のみ)を手に握り



わたしはわたしを彫っている



彫らない日が続いたら



代わりにどこかが欠けてゆく



この間は左足の



小指がぽっきり欠けたとさ



わたしは彫り続けねばならない



見えない鑿で彫らねばならない



彫らねば自ずと欠けてゆく



彫らねば醜く欠けてゆく



打ちつける音は心臓の



それと同じような音がする



わたしはわたしである限り



わたしはわたしを彫っている






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