永遠との境界

永遠との境界





まぶしい光の中に



蝉の死骸はいた



暗い冷房の中から



彼はただ出たかった



あとほんの少しだけ



飛ぶことが出来たなら



彼は自由という光を



浴びたはずであった



靴底は二度三度と



なおも死骸を踏んだ



あるいは二度三度と



引きずりまた蹴られた



まぶしい光の中で



彼は動かなかった



ほんの十分前の光は



永遠に失われた






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