永遠との境界

永遠との境界





まぶしい光の中に



蝉の死骸はいた



暗い冷房の中から



彼はただ出たかった



あとほんの少しだけ



飛ぶことが出来たなら



彼は自由という光を



浴びたはずであった



靴底は二度三度と



なおも死骸を踏んだ



あるいは二度三度と



引きずりまた蹴られた



まぶしい光の中で



彼は動かなかった



ほんの十分前の光は



永遠に失われた






0 件のコメント :

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。

詩集『ふじちょう』詩的ぶるぅす集【税込550円】

詩集『ふじちょう』詩的ぶるぅす集【税込550円】
2011年の自費出版オリジナル詩集。購入をご希望の方は画像クリックでAmazonから(購入できない場合は運営までお問合せください)▶お問合せ