悪友

悪友





ぼくには陰がある



悪友は毎晩現れ



ぼくの目や耳や口や



はしゃごうとする心をも



黒い手で塞いでいた




ぼくには陰しかない




月が太陽を覆ったとき



初めて光が存在した



陰が濃く大きいほどに



強烈な光がそこにあった



やがて月は光に消えた




ぼくには陰がある



その分だけ光がある



毎晩現れた悪友は



今頃どうしているだろう







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