八重桜

八重桜






ソメイヨシノが走り去って



ぽっかり空いてしまった心を



幾重もの幾重もの花で



埋(うず)めてくれたあなた



くっきりと晴れた日は



空へと連れて行ってくれ



しっとりと濡れた日は



その重みを近くに寄せ



そうしてわたしが立ち直り



野道を踏みしめる頃



あなたはその身を風に



委ねて行ってしまうのです







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