ページとページの間

ページとページの間







本はときとして



時間を超える



平安や江戸や



大正ロマンへと



そして時には



宇宙の舞台へと



その飛行中に



一点の星を見た



流れる風景を



慌てて停めた



羽虫であった



黒く小さな虫



ページとページの



間にはさまれ



この虫の時間は



ずっと停まっていた



樹液の中に



閉じ籠められて



琥珀になった



化石のように



飛び立つままで



時は停まっていた








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