泥の川

泥の川







誰ひとりの見送りもなく



ぼくは遥かな旅へ出る



みんなの悲しみを背負(しょ)って



ぐいと足を前へと出す



誰も見てはいないけど



ちょっと気取ってみたりする



さよならさよならさようなら



ぼくは泣いたりしないからね



そして泥濘(ぬかるみ)に足をとられ



袖までべったり濡れそぼつ



どうせ誰も見ていないのさ



頬にひと筋泥の川









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