麻布台

麻布台







歩道橋の真ん中で



ふと立ち止まった午後



黄色い陽(ひ)が滑り込む



ビルとビルの東京渓谷



ぼくは一体ここで



何をやっているんだろう



ぼくはなぜいまここに



いる必要があるのだろう



街路樹の落ち葉が



音もなく流れている



きらきら反射する車が



右に左に分かれてゆく



溺れることでしか



今は先へ進めない



唇をかたく締めて



渓谷へと足を向けた









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