あの手

あの手






しわくちゃの手だけが


記憶に残っている


どうすればこんなにも


しわくちゃになるのだろう


幼くやわらかい脳は


じっとその手を見ていた


それがいつどこでのことか


まったく覚えてはいない


土砂崩れの映像では


担架で人が運ばれる


ぶらりと下がった手は


しわくちゃな手をしていた


生きるとは何だろうか


この手はまだ薄っぺらい


それでもやがて時が来れば


しわくちゃになるのだろう











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