幸雲(こううん)

幸雲(こううん)






あと数十年で死ぬ僕は


何を残せばいいのだろう


たったひと握りのお金なのか


たった一篇のつまらぬ詩なのか


僕自身の肉体なんて


死ねばどのみち消えるのだ


形あるものを残したって


それはどのみち消えるのだ


残すべきものはだとすれば


形のないものがいいのだろう


触ってみようと手をのばしても


持つことなんてできやしない


僕の思考は雲のように


見えても触れることはできない


みんな幸せそうな顔をして


雲を見上げていればいい













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