石垣塀

石垣塀




このありありと続く石垣



築き上げた年月を偲ぶ



手に触れる冷たさには



歴史の雨が染み込んでいる



人の行き来が頼りであった



人の行き来より仕方なかった



ある者は危うく下敷きを免れ



ある者は不幸にも下敷きになった



手の冷たさと湿り気は



苦(にが)い思いが込められている



だからこそ揺るがないのだ



揺らいでしまってはいけないのだ



蜥蜴(とかげ)が一匹石から滲み出て



はるか先をしげしげと見つめていた






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