地中の羽ばたき

地中の羽ばたき





まるでミミズのように



地の中を這っている



カブトムシの子でもない



ニイニイゼミの子でもない



アゲハチョウの子にもなれない



まして蛹になどなれもしない



やがて空へ飛び立つそれらを



こうして地の中で見送るのだ



羨んでいるわけではない



ミミズはミミズなのだから



ただ出来ることならば



一度は空を飛んでみたい



慣れぬ空は危険に満ち



生命を脅かすことだろう



それでも力の続く限り



地の中から空を想おう



這って這って雷に打たれ



誤って羽ばたくやもしれぬ






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