春風

春風





人間の抜殻が



あちらこちらに落ちている



風に吹きつけられては



ころりころり転がっている



それらを割って歩く者が



横の連れに囁く



抜殻だから気にするな



意思なんてないのだから



その時抜殻は泣いた



意思のない抜殻が泣いた



いつかぼくも抜殻となり



泣くことがあるのだろうか



それならばせめて風に



風に負けない重さを持ちたい






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