散歌(さんか)

散歌(さんか)






咲くのが花の命なら



散るのは花のひとり歌



空の先から飛び立って



ひらりひらりと風を折る



誰に聴かせるわけでもない



思い出の場所を繰(く)るために



わらべうたのひとつでも



口吟(くちず)さむそれは空中讃歌



水面(みなも)に歌は落ちてゆき



幾重に生まれるさざれ波



輪にまた輪ができてゆくのは



真ん中に歌が落ちたから



誰に聴かせるわけでもない



口吟むそれは空中讃歌






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