祈りなき参拝
ニゴイは多摩川を抜け出し
濡れた体をひきずりさまよう
古い神社の鳥居をくぐると
社殿へ続く長い石段があった
苔むした段をひとつまたひとつ
登るとはなしに登っていった
何を祈るというわけではない
何を信じるというわけではない
ただ出来るはずもないことをする
意地にも似たような思いであった
川の中では毎日気が狂うほどの
河川外(かせんがい)生物と物体との格闘
無駄に無駄に無駄に無駄に
疲れ傷つき途方に暮れる
何を祈るというわけではない
何を信じるというわけではない
ただ出来るはずもないことをして
ニゴイは多摩川へ帰っていった
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