片目の鹿

片目の鹿





片目が見えないのは



わたしの厭なところを



半分見ないようにするため




片目が見えないのは



あなたの厭なところを



半分見ないようにするため




そう思うことでしか



どうして慰められようか



池に映したこの片目



空の重さがのしかかる



それでもひとつ想うのは



あなたの厭なところが



すべて見えてしまったなら



すべて見えるわたしの目を



わたしを責めていただろう



わたしはやはり片目がいい



あなたの前では片目がいい







0 件のコメント :

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。

詩集『ふじちょう』をamazonで購入