片目の鹿

片目の鹿





片目が見えないのは



わたしの厭なところを



半分見ないようにするため




片目が見えないのは



あなたの厭なところを



半分見ないようにするため




そう思うことでしか



どうして慰められようか



池に映したこの片目



空の重さがのしかかる



それでもひとつ想うのは



あなたの厭なところが



すべて見えてしまったなら



すべて見えるわたしの目を



わたしを責めていただろう



わたしはやはり片目がいい



あなたの前では片目がいい







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