破壊者

破壊者





茶をすすろうとしたその時



反射した世界を壊すものがあった



小さな羽と小さな六本の足で



映っている天井や窓という窓を



バタバタと壊しているのだった



彼は図らずももがくことによって



破壊者になることができた



わたしは唖然とした



そして凝視(みつめ)ようとした



わたしはこのありきたりな世界で



なにを破壊できていようか



図らずも陥ってしまった中で



なにを変えることができていようか



この破壊者に焦点を合わすと



反射した世界は消えてしまった



湯呑みの丸い水の上には



虫が一疋いるだけであった






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