眠る犬

眠る犬





鎖に繋がれた



犬たちを想う



駆け出したところで



体温を失った糸が



その長さ以上には



前途を許さなかった



紫陽花が咲いても



祭りの笛が鳴っても



焼芋売りが通っても



雪融け水が光っても



思い立ったときに



走ってゆけぬ哀しさ



前足を少しでも前へ



空(くう)を掻く虚しさ



どうにもならぬと知り



地にふせって眠る






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