甘い苦味

甘い苦味





苦い粉末の薬が



口の中に着陸して



新発見を競うように



あちこち走り回って



粘膜をめくってみたり



神経をぎしぎし踏んだり



あまり行き過ぎると



火事を告げるごとくに



鐘が打ち鳴らされて



どやどやと水がかけられ



濁流が発生し



あれよあれよと流され



もとの平穏を取り戻す



さてこの一大事が過ぎ



なにか甘い罠にでも



引っ掛かったかのような



忘れ得ぬ感覚は



いったい何であろうか







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