卵焼き

卵焼き





割れた卵に



顔を映して



恨みつらみを



呑み込むばかり



破れた傘は



まだ濡れたまま



何も言わずに



ドアに寄りかかる



いい匂いがするでしょう



卵はもう焼けるでしょう



そしてふっと考え事をして



やっぱりまた焦げてしまう



投げつけてやろうと思い



出来もしない自分を笑う



いい匂いがするでしょう



焦げた感じが素敵でしょう







詩集『ふじちょう』をamazonで購入