希望は燃えて

希望は燃えて






希望にマッチで火をつけて



燃やしたあとに残るのは



秋の夕暮れのようなにおいと



指先ほどの燃えかすでした



おもむろに紙を取り出して



大事にしまうつもりでいたら



一羽のカラスがやって来て



ばさばさ払ってしまいました




燃えかすは希望などではない



風が吹けば飛んでゆく



カラスの飛び去る夕日を見よ



希望は常に燃やされるものだ




わずかに残った燃えかすを



ふっと吹きつけてあげました







詩集『ふじちょう』をamazonで購入