水仙

水仙






風のような日々を



あなたと過ごした



愚かなわたしには



本当に風のようだった



ここにこうして立ち



衰えた視力で



霞む山並を眺め



荒い息を鎮める



今わたしがあるのは



あなたがいたからだ



便箋の片隅で



水仙が咲いている



もう少し早くに



言葉にできたなら



水仙の涙はきっと



風が乾かしたろう



二羽の鳶(とび)がゆっくりと



輪をえがいていた







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