大迷惑
夕暮れを待ってから
そっと樹海へ入る
迷惑をかけないように
いつも僕は迷惑をかける
止める人はいない
迷惑はかからない
ああこの木がいい
形が僕に似ている
手をかけようとすると
幹がなにやら動いている
毛虫がびっしり隙間なく
木の表面を覆っていた
なんということだ
まったく迷惑なことだ
なぜこの世に毛虫など
いなければならないか
まったく迷惑なことだ
まったく迷惑なことだ
こんなに小さな毛虫が
こんなに迷惑だなんて
一体なんだというんだ
迷惑って一体なんだ
樹海から飛び出したのは
まだ陽が沈む前だった
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