うらん

うらん






海沿いではいつも



うらんはひとりぼっち



塀に囲まれた中で



潮騒を聞いている



カモメの鳴き声がすると



磯の香りが迫ってくる



波がのたうつ日には



いつものカニも現れない



ぼうっとしていればいいと



作業服の人に言われた



だからもうずいぶん長く



ぼうっとして火照っている



時々なんだかうずうずして



暴れ出しそうになると



作業服に怒られるから



やっぱりぼうっとしている



ひとりぼっちで



ぼうっとしている







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