寄居虫

寄居虫






折りたたみ傘は役立たず



午前零時の終着駅



仮初めの港土砂降りの



足もとたたく荒れ渚



殻を脱いだ寄居虫(やどかり)を



乗せてくれる船は無し



その日その日の仮宿(かりやど)を



探して歩く波の際(きわ)



雨に霞んだこの街に



灯る明かりを聞きつけて



心許ない傘を差し



殻無きからだを晒しゆく







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