夏の痣

夏の痣







蝉が太陽を連れて



夏の樹にしがみつく



白い雲をかち割って



冴えた青が滲んだ



砕かれた夢は



破片へと変わり



小さすぎるものは



やがて融けて消えた



どす黒い痣(あざ)が



脛(すね)の上を這い



厄払いのように



消したかったのに



まだ夢の続きが



疼いてしまっていて



手にした氷嚢(ひょうのう)を



額(ひたい)の上に置いた







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