音のない波

音のない波







つきあたりを曲がって



坂を下りようとしたとき



ぼやけた黄色い夕陽が



見下ろす街を濡らしていた



ひとつひとつの屋根が



ひとつひとつ影をつくって



ぼくの立っている足元まで



打ち寄せてくるようだった



ぼくはしばらく立ち尽くして



音のない波音をきいていた



光りを受け取れる資格が



ぼくにもあったのだと気づき



ようやく心穏やかにして



町の影に身を浸していった









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