音のない波
つきあたりを曲がって
坂を下りようとしたとき
ぼやけた黄色い夕陽が
見下ろす街を濡らしていた
ひとつひとつの屋根が
ひとつひとつ影をつくって
ぼくの立っている足元まで
打ち寄せてくるようだった
ぼくはしばらく立ち尽くして
音のない波音をきいていた
光りを受け取れる資格が
ぼくにもあったのだと気づき
ようやく心穏やかにして
町の影に身を浸していった
生きるのはどうしてこんなに苦しいのだろう、つらいのだろう。いえ、だからこそ喜びを感じることが出来る。闇があるから光が分かる。この世はあなたが必要だ。
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