下を見ないで

下を見ないで






ふいと気づいてみましたら


足元は遥か崖ぶちでした


もしも暢気に口笛などで


空ばかり見てたら終わりでした




だけど時々思うのです


ひと思いに落ちたなら


意思のないまま終われたら


それも良かったのではないか


白黒映像に残るは


グアムでの天皇万歳


彼らは自らの意思で


崖ぶちを越えてゆきました




色とりどりの民権社会


眩しさに目を細めながら


ひとつひとつ足場を踏んで


私は崖を降りています







2014.1.9

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