生きるのはなぜ苦しいのだろう、つらいのだろう。いや、だからこそ喜びを感じ得るのだ。闇があるから光が分かる。この世はあなたが必要だ。感情回復『詩的ぶるぅすメソッド』申込はメッセージフォームから。
誰かの独り言を聞くのが好きな人へ
ほろ酔いの信念 わたしには信念がある 生き抜く確信がある 総てうまくいくわけではない 仕事を失うかもしれない 金を騙し取られるかもしれない 最愛の人と離れるかもしれない 自分に嫌気がさすかもしれない 世の中に嫌気がさすかもしれない 毎日の食の恵み わたしには信念がある 食の恵みさ...
イメージを楽しめる人へ
もうひとつの東京タワー 地面に丸を描いて これが東京タワーのてっぺんだと 片足で立っていると みるみる地面がせり出し 家の屋根を超え うっすら雲を超え 飛行機が間近を飛び 星に手がかかるかという頃 東京タワーが完成して 昼には太平洋を眺め 夜には足元が輝き 他の人には出来ないこと...
春の芽覚め 終わりのどこかに 次が芽を出していて 朽ちたと思っていた枝から 剥き出しの若葉が生え 断ち切られたはずの切り株から にょっこり新しい顔が見え もしかしたら自分にもと 膝の裏や脇の下などを探し なんだやっぱりないじゃないかと 舌打ちしそうになるのだけれど 目に見えぬ所に...
この頃ココロが落ち着かないと思う人へ
春の雲 荒寥(こうりょう)とした地は ひどくわたしを小さくし 行けども行けども 足跡は土煙に消え 目ん玉でさえも 水をくれとのたまい ようやくここへ帰りつき まず目にまぶしかったのは どっぷりと灰色を含んだ やさしい春の雲であり あなたが植えた雪柳は しっとり雨に濡れ散って わた...
花枕 なんでもないのです なにをするでもないのです ただここにこうして 仰向けに寝転んで 満開な淡い光と ほのかな匂いをかいで うとうとほかほかと 寝転んでいるだけです それだけでいいのです 今日はもういいのです あなたも横になりなさい 疲れも和らぐことでしょう
子どもの頃を忘れてしまった人へ
渡り鳥の春 きみを急き立てるのは何だ きみを突き動かすのは何だ ぼくがどんなに押さえても 振りほどいて行くのだろう ぼくがどんなにうなだれても 構うことなく行くのだろう ならば見送ってやろうではないか 心置きなく行ってもらおうではないか もう悲しい顔なんてしない もうきみを困らせ...
黒翅 ひらりと突然 それはやって来た 美しい黒翅(くろはね)の カラスアゲハ一頭 右のまつ毛にとまり 蜜をすすった カラスアゲハはそのまま ぼくの右眼になり いつまでもひらひらと 目の中を舞った 追いかけようにも 追いかけられなかった ぼくは右眼を 閉じるしかなかった けれどもそ...
時には感傷的になりたい人へ
青い椿 どこからか集まってきた水は いつしか深い青を湛えて わたしの中の底の底を 小さな渦をつくりながら 命の果てまで流れてゆき 恐ろしく冷たいこの河が 恐らくわたしの源で いくら熱い湯を浴びても いくら熱い茶を飲んでも 温まらないのはこのためで だけど悲しいことはなく 冷たい手...
細波 樹の幹の欠けたところに 甲虫どもが寄り集まって 埋め尽くしてしまうように 洞窟の天井の欠けたところに 蝙蝠どもが寄り集まって 埋め尽くしてしまうように 思い出の砂浜の欠けたところに 細波どもが寄り集まって 埋め尽くしてしまうように 戦いの大地の欠けたところに 慈しみの雨が寄...
この頃気づきを得ていないと思う人へ
祝 おぎゃあ ライオンの子が産まれた おぎゃあ イルカの子が産まれた おぎゃあ ナナフシの子が産まれた おぎゃあ ビカソの絵が産まれた おぎゃあ 黒田節の唄が産まれた おぎゃあ ぼくの中からぼくが産まれた おぎゃあ 明日もどこかで何かが産まれる