蓑虫の未来

蓑虫の未来




蓑(みの)を身に纏ったまま



とぼとぼ歩いている



それは必死のようであり



上の空のようでもある



ずいぶん長く歩いたが



道を渡るにはまだ遠い



上にいれば何事もなく



清風に吹かれていただろう



堕ちたのか堕とされたのか



下を行かねばならなくなった



それでも行かねばならぬなら



ひとまず道の向こうまでと



もそりもそりと歩き出し



調子が出てきた頃である



車輪という残酷な運命は



未来を踏み潰していった






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