フロントガラスは曇って

フロントガラスは曇って







エンジンをとめて



港の音を聞く



始まりも確か



この海沿いだった



曇ってゆくガラスが



車の中を隠した



いままた終わりに



沈黙が雲ってゆく



外に出ればもう



風がさらうだろう



なき続ける船に



乗ってしまえばいい



エンジンをかけて



アクセルを踏めば



窓のすき間風が



ガラスをぬぐうだろう







詩集『ふじちょう』をamazonで購入