無月

無月







疑い深い私は



月さえ信じませんでした



この世にたった一つしか



あるはずのないものなのに



わずかに欠けているだけで



あれは本物なんかじゃない



私は絶対信じない




私は私を疑いました



いったい何が本当だろう



たとえ欠けていたとして



たとえぼやけていたとして



月は月に変わりなく



私の空に存在している



いま姿が見えなくても



必ずどこかを回っている



私は私を赦したい



見えない月を迎えるために








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