飛べない飛行士

飛べない飛行士







僕は飛行士じゃない



だから飛行機は飛ばせない



それなのにあろうことか



君を乗せて飛ぼうとしていた



どんなに躓(つまづ)き転んでも



すぐに立ち上がれていた頃



僕は操縦桿(かん)を握り



浮かび上がるのを待っていた



僕にはまだ飛行機を



飛ばせないのだと知ったとき



君を乗せたままにして



逃げるように降りてしまった



いま君は誰かの手で



どこを飛んでいることだろう



僕はいつか飛行機を



飛ばせるようになりたいんだ



もう逃げることのないような



大空の飛行士になりたいんだ








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