水深

水深







ビルとビルの間を



雲が流れている



青い色に溶けながら



あるいは生まれながら



底の方では誰もが



自由に流れてゆく



いや厳密にいえば



自由な人はほとんど無い



向かうべき方向へと



大局的速度で流れる



ビルとビルの間で



ふとこの速度をとめた



ぼくが向かうべきは



一体どこなのだろう



すれ違う人の目は



ハゼの目をしていた



ぼくは流れる雲の



水面(みなも)を見上げていた








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